病気にならないカラダを作る

五味五色の養生法

 
 
 
 
 
 

毎日五つの色を食べましょう!

毎日五つの色を食べましょう!

五色とは

 
薬膳では、 すべての食材を 「緑(青)・赤・黄・白・黒」の五色に分類します。 この五色の食べ物は、内臓と関係していて「肝・心・脾・肺・腎」 の五臓を整えてくれます。

1日きちんと五色を食べれば、体のバラ ンスが調い、健康を維持できるということです。 薬膳にはいろいろと決まり事があって難しいのではと、思われる方が多いと思いますが、難しく考えなくてもいいんです。

1日に五色の食材をまんべんなく食べることで五臓を養う事ができます。もし、毎食五色を摂ることができなくても、朝食や昼食に採れなかった色を夕食に補うように、一日で五色の食材を摂取してい ただければ大丈夫です。

栄養学的に言われている「一日十四品目を食 べましょう」を毎日実行するのはとても大変ですが、一日五色なら毎日の献立を組み立てることが簡単になるのではないでしょうか。

まずは、五色をきちんと食べましょう!

今日、緑が食べられなかったら、明日多めに食べるようにして、あまり堅 苦しく考えず、無理なく続けることが何より大事です。五色を意識することでバランスのとれた食事になり、自然に健康を保つことができるのです。

また、季節に対応する食材にも五色があります。 
 

 
「五色の代表的な食材」を見てみると、季節によって影響を受ける五臓を養生できる食材が多いことが分かります。それぞれの季節に対応する季節の色の食材を、少し多めに献立に加えることもおすすめです。

五色の代表的な食材

「緑」の食材

 

 
 
五行学説では、五色の青(緑)には五臓の「肝」があてはめられています。ここでいう「肝」は、西洋医学における「肝臓」といった臓器にとどまらず、カラダのなかでの役割や機能を含む広い意味で使われています。
 
中医学での「肝」の役割は、血を貯蔵したり、血流をコントロールしたり、また精神的な安定をはかる役割も担っているのです。「肝」は伸びやかにゆったりとするのを好む臓器です。したがって、万物が目覚め成長する「春」という季節には、「肝」の働きが活発になります。
 
そして、春は就学や入社などの新生活がスタートする季節でもあります。環境や生活の変化などの影響を受けてストレス過多になることで、「肝」のバランスが崩れやすくなります。そのため、精神や気持ちが安定しなくなったり、イライラしたり、落ち込んで鬱々としやすくなります。
 
季節に関係なく、人間関係のストレスや、パソコン、スマートフォンなどの見すぎで眼を使いすぎた時なども、「肝」の機能が低下いたします。養生としては肝気を整える「緑」の食材を多めに摂ることが大事になります。
 
また、「緑」の食材以外にも、金柑、ゆず,玉ねぎなども気の巡りを良くするものや、にんじん、レバー、クコの実などの目の改善に効果がある食材なども合わせて摂取するといいでしょう。
 
これからは、日々の献立にこれらの食材を活用して、美味しく養生をしていって下さい。そして、甘い物、激辛の物、脂っこい物、アルコールなどは「肝」に負担をかけるものなので、なるべく控えるように注意をして下さい。
 

「赤」の食材

 
 


五行学説では、五色の「赤」は五臓の「心」があてはめられています。ここでいう「心」は、西洋医学における「心臓」といった臓器にとどまらず、カラダのなかでの役割や機能を含む広い意味で使われています。
 
中医学での「心」の役割は、「血」を全身に循環させるポンプのような働きと、精神や意識、思考を司る働きの2つの役割を担っています。機能が低下すると、動悸、息切れ、胸苦しさ、発汗過多、不眠、多夢、不安、集中力の低下などの症状が起こります。
 
気温や湿度が高くなる夏は、「心」に負担がかかる季節です。心の機能低下を予防するためにも、カラダの余分な熱をとったり、暑気あたりを解消したり、気血を補う「赤」の食材を積極的に摂って養生することが大事になります。
 
また、瓜系の夏野菜(なす、きゅうり、冬瓜、ズッキーニなど)は、カラダの熱を冷ましてくれるので、赤い食材と合わせて摂れば夏の養生に効果的です。ただし、瓜系の食材はカラダを冷やしますので、冷房で冷やし過ぎた方や、もともと冷え体質の方、胃腸虚弱の方は、摂りすぎないように注意をして下さい。
 
もし、冷えた方や胃腸虚弱の方が夏野菜を食べる時は、温かくして食べることをオススメいたします。そして、できるだけ冷たい飲み物や生ものは食べないように注意をすることが大事です。

「黄」の食材

 
 


五行学説では、黄色は五臓の「脾」があてはめられています。中医学での「脾」の役割は、「胃」と共に消化吸収に関する働きと、吸収された栄養分を全身に送る働きがあります。
 
黄色の食材の効能を見てみると、「脾」の役割である消化吸収の働きを補う食材が多いことが分かります。「脾」は湿気を嫌う臓器です。そのため湿度が高い梅雨の季節に、消化器系を悪くする方がとても多くなるのです。だから、湿度が高くなる季節には、黄色の食材をしっかり摂って脾胃を労るように心がけて下さい。
 
また、水分をがぶがぶ飲んだり、空腹感がないのに義務的に食事を摂ったりすることは「脾」をいじめますので、日頃から脾胃が虚弱な方は、食習慣を見直して、甘い物や冷たい物を控え、気を補う野菜をしっかり摂って、お腹を冷やさない様に注意する事が大事です

「白」の食材

 
 


五行学説では、五色の「白」は、五臓の「肺」があてはめられています。中医学での「肺」の役割は、呼吸機能の働きと、免疫系の機能や皮膚、鼻の生理機能を維持する働きがあります。
 
「肺」は乾燥に弱く、とてもデリケートな臓器です。よって、乾燥する秋は渇いた空気が体内に入り込んで「肺」を傷つけるため、せきやたんがでやすく、息苦しさや、免疫力の低下、そして肌の乾燥などが起こりやすくなります。養生としては、潤わす白い食材を摂って肺の潤いをしっかり保つことが大事になります。
 
夏も後半になると梨が出始めますが、旬の梨を食べることで、次にやってくる秋の乾燥対策になるのです。もし、呼吸器系を悪くしてしまった時は、唐辛子や香辛料などの辛味の強い食材を食べると、症状を悪化させる可能性があります。咳などが出ている時は、決して摂らないよう注意をして下さい。
 
肺の機能低下を起こしてしまうと、免疫力も落ちてしまいますので、感染予防のためにも、マスクなどで鼻やのどの粘膜を守るようにしましょう。

「黒」の食材

 

 


五行学説では、五色の「黒」には五臓の「腎」が当てはめられています。ここでいう「腎」は、西洋医学における「腎臓」の働きだけを示すものではありません。中医学での「腎」には三つの役割を持っていて、一つ目は生命力の源となる「腎精」を貯臓し、成長、発育、生殖を司り、二つ目は水分を管理して尿の排泄を司っています。そして、三つ目は、肺の作用を助けて酸素を体内奥深くに吸い込む役割も持っています。
 
「腎」の機能は年齢とともに衰えて行き、薄毛、白髪、難聴、健忘、頻尿、足腰の衰えなどの老化現象が現れてきます。しかし、食生活を見直すことで老化を予防することができます。そこで意識してほしいのが、「腎」を補う「黒」の食材を日々の食事で摂るようにすることです。
 
また、「黒」の食材以外でも、長いも、ニラ、くるみ、えび、鶏肉、豚肉なども滋養強壮の働きがあり腎を補いますので、これらも合わせて摂取するようにして下さい。「腎」は寒さに弱い臓器です、寒い冬の季節には尿トラブルや足腰のトラブルが出やすくなります。
 
寒さを感じてきたら黒い食材をしっかり摂って、早めに「腎」の養生をすることが大事になります。エイジングケアのために高いサプリメントや化粧品を利用する前に、「腎」をしっかり養生していくことが、なによりもエイジングケアにつながるのです。

五味を食べて五臓を元気に!

五味を食べて五臓を元気に!

五味とは

 
中国最古の薬の書物「神農本草経」の中の言葉で、「食べ物を味覚から五つに分類し、一人一人の状態や体質に応じて摂取することが大事」と書かれています。
「五味」とは、人が食べ物を口にした時に感じる五つの味のことをいいます。
 
五つの味には、
「酸味」‥‥すっぱい
「苦味」‥‥にがい
「甘味」‥‥あまい
「辛味」‥‥からい
「鹹味」‥‥しょっぱい

この五つの味には、体の機能を司る五臓を補う働きがあります。そのため、カラダのある部分が疲れているとそれに対応する味が欲しくなります。例えば、腎が弱っていると「鹹(塩)味」を欲し、肝が弱っていると「酸味」を欲し、心が弱っていると「苦味」を欲するように、その欲する味によりカラダのどこが疲れているのかが分かるようになります。
 
また、滋養強壮の働きがある「甘味」を疲れた時に欲しくなったり、寒い日には、血流を良くしてカラダを温める働きがある「辛味」が欲しくなったりすることも、知らず知らずにカラダが調整を求めている証です。この「五味」それぞれの違った働きを活用することで、未病予防に役立てることができるのです。

「五味」には下図のような働きがあります。
 

 
 
「五味」と「五臓」の相互関係図

五味の働き

 
 
 
 
 

 

 

 

 

 五味の摂りすぎ

一つの味だけに片寄って摂りすぎると、それぞれ副作用がおこります。

 
五味は五臓を補う一方で、ひとつの味を過剰に摂取すると、逆に五臓を弱らせてしまうこともあります。 塩辛いものを食べ続けると腎が弱ってむくみが出たり、甘いものを食べすぎると脾(中医学では消化器系を意味する)が弱って、胃腸障害が起きて口の周りに吹き出物ができます。

辛い食べ物の摂りすぎは気管支に悪い影響を与え、咳を誘発したり気管支炎を悪化させることもあります。特定の味を摂りすぎても、逆に不足しても五臓のバランスを崩すので、ひとつの味覚に片寄ることなく、いろいろな味のものを工夫して食べることが大切になります。
 

酸味の摂りすぎ

筋肉を萎縮させ、胃を弱めます。また、体に水分をためこみがちな人は注意しましょう。

甘味の摂りすぎ

骨と胃腸、肝臓を弱めます。

苦味の摂りすぎ

胃腸を冷やしてバランスを崩しやすく、皮膚が乾燥する。

辛味の摂りすぎ

汗を過剰に発散する。胃腸を弱め、体力を消耗します。

塩味の摂りすぎ

「血」の巡りを悪くし、むくみやすくなり、新陳代謝を混乱させます。

片寄りを緩和する味の組み合わせは、
酸味×甘味
苦味×辛味
甘味×塩味
辛味×酸味
塩味×苦味
 
日常生活における食事でも、甘い物と酸っぱい物、苦い物と塩辛い物など、反対の作用をもつ食材を組み合わせて作る料理がたくさんあります。私達は、知らず知らずのうちにバランスの取れた料理を、美味しいく感じて食べてきているのです。

日本の伝統的な食事は、甘味のあるお米、塩辛い醤油、辛いわさび、酸っぱい酢、苦いお茶など、調味料や漬物などの発酵食品などで、五味の要素がバランスよく採れている健康食と言えるでしょう。

このような五味調和のとれた食事を摂ることは、五臓の調子を整え、健康を維持することにつながります。日々の食事に、この薬膳の考え方をプラスして、未病予防をしていきましょう!